井上 | MORRCHを御覧のみなさん、ごきげんよう。少しの間ごぶさたしておりました。お久しぶりです。みなさん、お元気ですか?
井上麻里奈です。私が出演するオリジナルビデオアニメーション『コゼットの肖像』のVol.3も、最終巻、ついに最終巻なんですけど、あさってアフレコがあります。ただいま練習真っ最中でございます。シングルの「宝石」も8/11には発売しまして、今年の夏のコミックマーケットでは、わたくしがビッグサイトにお邪魔してイベントをさせていただいて参りました。来てくださったみなさま、本当にありがとうございました。Vol.3も12月に発売です。みなさま、楽しみに待っていてくださいね。さて、この番組では、『コゼットの肖像』の製作スタッフの方々をゲストにお迎えして『コゼットの肖像』の裏話を、秘話などをお聞かせいただきたいと思います。それでは、まずこちらから御覧ください!どうぞ
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井上 | さて。今日は『コゼットの肖像』の音楽を担当して頂いております梶浦由記さんにおいでいただきました。梶浦さん、よろしくお願い致します
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梶浦 | こんにちは、よろしくお願い致します
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井上 | すごいお久しぶりですよね
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梶浦 | そうですね。「宝石」のカップリングの「Ballad」を録って以来?
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井上 | 7月ですよね?
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梶浦 | 7月ぐらいだったと思う
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井上 | そうですよね。いっつも梶浦さんにお会いするときは半年毎ぐらいの
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梶浦 | そうかもしれない。初めにオーディションでお会いして。「宝石」録るまではすっごい早かったんですよね?
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井上 | 一瞬でしたね。『コゼットの肖像』のオーディションに受かって最初のお仕事が歌
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梶浦 | 歌だったんだよね。確か、決定して3日後ぐらいにはウチに来て仮歌とってたような気がして(笑)
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井上 | そうなんですよ!
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梶浦 | ものすごいスケジュールでとってたような気がして(笑)
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井上 | そうなんですよねー。まず歌だから、これ練習してきて、っていただいて。最初にデモテープをいただいた時には、なんて難しい歌なんだろうって
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梶浦 | そう?
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井上 | はい(笑)
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梶浦 | 確かに、そんなに非常にポップスにありがちな曲ではない
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井上 | そうですね。ふだん、一般的なカラオケで歌うような曲ばかり歌ってて、ああいうすごい表現力を要するというか、雰囲気が必要な曲
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梶浦 | コゼットですからね
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井上 | しかもあのときまだ、『コゼットの肖像』のお話自体が全然わかってなくて。なんか、ゴスロリの女の子が出てきて
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梶浦 | もうわかってますか?
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井上 | (笑)たぶん大体(笑)。そのときは、出てくるお話、しか知らなかったので、どういう雰囲気で歌ったらいいのか全然わからなくて
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梶浦 | オーディションも緊張していました?
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井上 | 緊張するどころのお話ではなかったですよ
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梶浦 | ほんとに?1番緊張していないように見えたね
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井上 | みなさんそうおっしゃられるんですけど、ひどかったですよ、あのオーディションは
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梶浦 | あれで緊張しなかったらヘンだけどね
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井上 | そうですね。入るまでは普通の緊張感だったんですけど、部屋に入って、いきなり緊張度合いがグーンと!
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梶浦 | だって偉そうに見える人たちが座って
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井上 | 横に長い部屋に、ずらーっと。みなさんが座っていらっしゃって。私の印象的には30人ぐらいいたんじゃないかなって思ったんですけど、実際には
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梶浦 | そんなにいなかった。10人いたかしら?そんなもんかな
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井上 | 12.3.5ぐらい?すごい緊張しました
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梶浦 | 対1ですもんね
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井上 | そうなんですよね。私そのときは、梶浦さんがオーディション会場にいらっしゃるとは、ほんとに
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梶浦 | なるべく端っこのほうにひっそり座っていたつもりなんですけどね。すごい覚えていますよ。すごい歌が良かったので。表現を何かしようとしている歌だなぁって思った印象があって。だから、きっとこういう歌もうまいだろうなって思ってたんです。仮歌うたってもらう前から
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井上 | オーディションの歌が梶浦由記さんの「See-Saw」の「あんなに一緒だったのに」
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梶浦 | 酷なオーディションでしたよね。けっこうあれ難しい歌
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井上 | 難しい歌ですよね
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梶浦 | 聞くと、けっこう簡単そうに聞こえるでしょ?聞くと、簡単そうなんだけど、歌ってみると難しいっていうオーディションにはいやーな曲だなぁーと(笑)
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井上 | 私も『ガンダムSEED』はちょこっとだけ見ていたので、存じていたんですけど、それが来るとは夢にも思わず。実際歌ってみて、なんて難しい曲なんだろうって
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梶浦 | 歌い手さんにとっては、簡単そうに聞こえて実は難しい曲って1番イヤな曲ですよね。難しそうに聞こえて難しいんならまだいいんだけど。人が聞くと簡単そうに聞こえるのに、歌うと難しいっていうのは非常に不利だよね
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井上 | あれは難しかったですよね
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梶浦 | でも、オーディションのときに演劇をやってるって言ってたじゃないですか。それでなるほどって思ったのが、やっぱり歌が、メロディを歌ってるんだけど、言葉をちゃんと歌おうとしてるなと。歌っているというよりは、歌おうとしてるな、みたいな(笑)。そういう印象が、訴えかけようとしている印象があったから、これは素敵だなって思って
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井上 | 私あの時は本当にいっぱいいっぱいで。すごい足とか震えていたんですけど
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梶浦 | そうでしょうね
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井上 | 歌ほんとは、オーディションの要約というか、覚えてくる、ソラで歌えなきゃいけないって話だったんですけど。とびますね
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梶浦 | 1回イントロ入れなかったっけ?
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井上 | はい。最初入れなかったですね。で、途中から入って。それはしょうがないと思いながら
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梶浦 | それはしょうがないと思えるっていうのが、度胸あっていいんじゃないですか
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井上 | そこで歌い直させてください!っていうのもちょっと無理だなって思いながら。2曲目がんばろうと思わなきゃ無理だったので。でも本当に「宝石」のデモテープいただいたときは、なんて難しい曲なんだ!こんなの歌えないよ!って印象で
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梶浦 | 6/8のリズムって、取れない人は本当に取れなかったりするので。実はすごいはじめ、どうかなって。人によって、本当に苦手な方っているんですよ。歌、うまい方でも6/8のリズムになると、歌ったことがないとすごい苦手な方とかいるんで。どうかなってドキドキしてたんですけど(笑)。でも歌ってもらったら、なんのことはなくすごく良かったので
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井上 | あと、ほんとに普段歌う曲ではない。しかも、『コゼットの肖像』の雰囲気を壊してはいけないっていうのがすごい難しいなって思いながら
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梶浦 | うん。壊してなかったし。すごく『コゼットの肖像』なのに少しハスキーな感じの声がはまったなぁーと。あれで、すごいかわいい声で歌っちゃったりすると、かえってアレかなっていうのがあって。非常によかった
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井上 | 最初、コゼットの声で歌うのか自分の声で歌うのか、すごい迷ったんですけど。でも今思うとコゼットの声で歌わなくて良かったなって思って
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梶浦 | 不思議と下の、ハスキーな感じの、わりと下目の声がコゼットの世界観的にマッチしてたんじゃないかなって
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井上 | コゼットの声で歌ってたら、今、いろんなイベントで歌ってるじゃないですか。多分無理でしたねー(笑)
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梶浦 | 照れちゃって?
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井上 | 世界に入らないとあの曲歌えないので。コゼットだったら難しかったですね。歌ってる声は地声に近い声なので。出しやすい、音程的にも。なので、まだよかったなぁって思ってるんですけど。最初にデモテープいただいて、練習してきてねって言われて。1番最初に梶浦さんのお宅にお邪魔したとき
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梶浦 | 引っ越し前の、昔の家ですね
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井上 | そうですね。すごい、緊張しました
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梶浦 | そうなんだ?すごい度胸ある子だなって思ってた(笑)
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井上 | えー!
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梶浦 | そりゃ多少は緊張してるだろうなとは思ったけど、すごいしっかりしてるなって
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井上 | しかも普通の、本当に普通のお宅だったじゃないですか。普通のお部屋で
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梶浦 | 普通の。おかあさんとかいて(笑)。普通の、由記の部屋、みたいな感じで
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井上 | お邪魔します、みたいな感じで。普通の部屋で歌うっていうのはすごい難しいなと思いました
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梶浦 | それまでスタジオで歌とったこととかあった?
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井上 | 初めてです
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梶浦 | じゃどっちが難しいも何も、両方初めてだったのかな?
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井上 | すべて初めてで。なんていうのか、お部屋だから響くじゃないですか。自分の声もすごくよく聞こえるし。かと言って誤魔化せるワケもなく
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梶浦 | かえってね、非常にリアリティのある普通の家とかだと逆に緊張したりするのかもね
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井上 | しかも初めて梶浦さんにお会いするし、あー、どうしようって。全然歌えてなかったのであのときは
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梶浦 | でもね、ああやって直接歌っていただくとなんとなくわかるので。あの、多分このリズムだったらここまでいくな、とか。なんてちょっとおこがましいけど。やっぱりああやって1度歌っていただくと、アレンジとかも調整できるので、あそこでやっぱり来てもらえたのは。ちょっと時間がなかったじゃないですか。あそこで来てもらってほんと良かったなって。1回どんなに簡単な仮のカラオケでも、歌ってみると全然。歌ったものを録音して聞くって全然違う
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井上 | すごいあれは酷ですよね!
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梶浦 | 衝撃だよね
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井上 | はい。あれ、自分で初めてCD焼いていただいて聞いたとき。これダメでしょう!って
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梶浦 | 私も自分の歌とか録音したことないですけど、多分ふつうの人って、自分の歌を、本当のレベルより3mmぐらいうまいと思ってるよね(笑)
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井上 | 実際そうかもしれない。あそこまで下手だとは思わなかったです
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梶浦 | 録音して聞いてみるとね。綺麗な音で録音すればするほど
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井上 | クリアに聞こえて。すごい私あの日は、落ち込んで帰って、これはまずいと
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梶浦 | 私は逆にすごくほっとして。これはいける、と思って
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井上 | その、お宅に伺って1週間後ぐらいにレコーディング
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梶浦 | あっという間に。かえって良かったんじゃないかと思って。逆にはじめに衝撃を受けてしまったりして、時間が2~3週間とかあると返って考え過ぎちゃうかなと。逆に1週間だと、練習多少する暇はあっても考えるヒマなかったでしょ?だからその勢いでとれちゃったのは本当によかったんじゃないかなって
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井上 | あの1週間は本当に、すごい、私こんなに今まで練習したことないってぐらい歌いましたね
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梶浦 | だから来たとたんに練習したなって思った(笑)
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井上 | (笑)そうなんですよね。これ言って平気ですかね?歌詞が当日
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梶浦 | そうなの。歌詞がかなり変わっちゃって
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井上 | 当日本物の歌詞をいただいて。それまで仮歌詞だったんですけど。それを梶浦さんがいらっしゃるまでスタジオで練習させていただいて。そしたら、梶浦さんに「練習した?」って言われて
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梶浦 | さっき歌詞が来たのに練習した?って言われてもみたいな(笑)
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井上 | でも練習した?って言っていただいて、すごい嬉しかったです
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梶浦 | 歌った途端に練習したんだなーって。リズムの部分とかがすごい慣れてたんだよね。ああいうリズムって慣れだから。ああいう曲ってリズム感よければなんとかなる、6/8って。ほんとのリズム感っていうより、曲のリズム感にのっちゃえば、すごくかっこよく聞こえるのね。のらないとテンポがすごく遅く聞こえちゃう。声がちゃんと6/8のリズムに乗ると、すごくテンポが一気にアップする。ボーカルの力だけで。6/8のリズムってとれてるととれてないで雲泥の差があるので、非常にその、 本番でね、パッと初めに歌ってもらったときにリズムに乗ってきてたから、これは本当にすごい練習したんだなって思って。がんばったんだなって(笑)
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井上 | (笑)あのときは本当にがんばりました。あのままじゃ、とてもじゃないけどレコーディングはできないと自分で思ったので、これはちょっと練習しなきゃ、と。ちょうどオーディションぐらいのときに、ちょうど演劇の公演があって、そのときにけっこう、がんがんに叫ぶような役だったので、若干喉をつぶしている時期で。そんな中だったので、雰囲気出す、喉を治すのも大変だったんですけど、あの雰囲気を壊さないのも大変だなって思って、練習しなきゃ!って
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梶浦 | 演劇をやるってことも、歌を歌うってことも、人に何かを訴えかけるってことで共通してるじゃないですか。たぶん、麻里奈ちゃん演劇やってたっていうことで、訴えかけようというエネルギーははじめから持ってたんだなって思って。そういうのってなかなか、いきなりデビューしました歌うたいましただと、なかなか見つけられないこと多いんだけど。それだけ場数を踏んでたってことで。訴えかけようとする力はすごくあると思うんで。そういう意味でいいものが作れたんじゃないかと思ってるんですが
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井上 | ありがとうございます!あの、できあがったときに、すごい素敵にちょこちょこ補正されてて(笑)
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梶浦 | (笑)でもね、そんなに増やしてないよ
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井上 | (笑)いやほんとに!うまく聞こえるもんって
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梶浦 | 今はね、いろんな技術あるんでね(笑)って思ったりするんだけど。直してないよ
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井上 | いろいろつなぎ合わせたり
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梶浦 | いや全然。技術的に今そういうことができるけど、できるからこそあんまりやりたくない部分ってあるじゃないですか。やっぱりね、あんまり、切り張りとかしちゃうと。リアルな話になってきたな(笑)。どうしてもニュアンスが死んでしまったりとか、そういうこともあるので。なるべく、やらない方針でやってたから。そのまんまのところもずいぶん、ずいぶんっていうかかなりあるので。そんなに思ったほど。ほら、やっぱり録ってるときはかなり裸だったりするじゃん。歌がすごい出てて。歌いやすいようなオケだから。それを綺麗にまとめてくるところで歌がね、余計に綺麗に聞こえてくるっていうのは当然だから。そういう力があると思うんで。本人が思うほど直してないと思うよ。多分
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井上 | ありがとうございます。自分の歌が終わったあとで、コーラスの方がいらっしゃって。あ、これがプロだなって
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梶浦 | あー。まぁコーラスの方は御上手ですよ
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井上 | いきなりこの音で、とか言われてぽんって出る
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梶浦 | もうそうですね。いつも私もびっくりする。プロですからね
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井上 | そうですね。私のボーカルに合わせて歌っていただいたじゃないですか。それもすごいぴったりはまってて。梶浦さんも、“ちょっとズレてるんで”って、どこがズレてるんだかわからない、ってズレなのに!そうですよね、っておっしゃって。しかもそれがすぐに直ってきて。すごい、ここすごい!って感動の嵐だったんです
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梶浦 | 私のコーラスって難しいみたいなんで、上手な方、呼んでますよ
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井上 | 梶浦さんのこだわりも拝見できて。同じ、4つぐらい音があったじゃないですか。それが、音毎にいちいち2回かぶせて音を録ってて。それをまた全部一緒にっていうのが、すごいなーって
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梶浦 | はいはい。コーラスを広げるんですね。集団感を出すというか
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井上 | なるほど。あのときに「宝石」と「メインテーマ」
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梶浦 | そう。「メインテーマ」のほうも録ってて
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井上 | あの、「メインテーマ」の歌詞っていうんですかね?
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梶浦 | (笑)歌詞、ありますよ
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井上 | 何語なんでしょう?
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梶浦 | 梶浦語です
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井上 | 梶浦語!ああいうのは、もうインスピレーションで?
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梶浦 | 完全にインスピレーションですね
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井上 | 思い浮かぶんですか?
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梶浦 | もういっくらでも思い浮かびますよ(笑)
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井上 | すごいですね!
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梶浦 | いい加減言語ならいくらでも。とっさになんでも出てきますからね。大好きなんですよね
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井上 | 何語なんだろうってずっと思ってて
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梶浦 | 感覚的に、少し、イタリアっぽい感じを入れたいなって。どっかイタリアの遺跡の回廊を歩いている感じを。コゼットっていうと結びつかないんだけど、あそこだけそういうコーラスにならないかなって思ったので。偽イタリア語みたいな感覚はどっかにあったのかもしれないけど
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井上 | ちゃんとした言葉ではなく
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梶浦 | ちゃんとした言葉ではなく。まったく
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井上 | ええー、素晴らしいですよね。すごい長いじゃないですか。いろいろかぶさって。「宝石」にもちょこっと
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梶浦 | 入ってますね
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井上 | ああいうのはずっとどこから出てくるんだろうって不思議だったんですよ
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梶浦 | たぶんね、コーラスとか考えるのが、そもそも好きなんで。もともと子供の頃、筋金入りの合唱部だったから。だからコーラスとメロディーって一緒に出てきちゃうんですよね。アレンジ始めるより先にコーラス出きてるっていう。メロディーができて、コーラスができて、それからアレンジ始めるって感じなんで(笑)。コーラス先だったりするから、だからやっぱりああいのはうのが入ってくるんですね
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井上 | でも、言葉、意味のない言葉がすごい素敵で
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梶浦 | 面白いでしょ、ああいうの考えるの。譜面にするのが大変で。すごい適当に歌うから、あとから自分でヒアリングしなきゃいけないの。ちょっと止めて、これスチューダか?ステュードか?って自分で歌っててわからない
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井上 | そうですよね。メインテーマの譜面いただいて、見させていただきながら見てたんですけど。なんだこれは?全部ローマ字でって
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梶浦 | そうですね。ローマ字で書いてあって。歌うのは早いんですけど、あっと言う間で。譜面書くのはすごい時間かかりますね
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井上 | すごいやっぱり、そういう意味のないコーラスもすごい合ってるなぁーと
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梶浦 | そうですね。「宝石」のカップリングの曲も。「ballad」も、あれにも♪やーえーやーえーって
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井上 | はい!いきなり、1番最初のところに
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梶浦 | 何がやえだって自分で思ったんですけど(笑)。ああいうのも楽しいですよね。あれも難しかった?あっちのほうが、私ね「Ballad」の歌のほうが「宝石」より難しかったんじゃないかな、歌う人はって思ってたんだけど、そういう感覚はなかった?
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井上 | 私的には。やっぱり「宝石」はお仕事の1番最初で1番初めての。すべてが初めてだったので、そういう意味で、いっぱいいっぱいという意味では、どっちかって言うと「宝石」のほうが余裕がなかったんですね。「Ballad」はもうちょっと、余裕を持ってできたんじゃないかなーって思ってるんですけど。でも、「Ballad」はすごく自分的に、苦手
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梶浦 | かもね。抑揚っていうのがある意味、出さなきゃいけないんだけど、非常に出しずらい曲かなっていうのがあったんで。非常に声に合ってたと思うんだけどね
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井上 | そうですか?
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梶浦 | 声合うだろなーって思って作ってたの
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井上 | 私自分の中で自分の声は「Ballad」じゃないっていう
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梶浦 | あー。「Ballad」が苦手っていうよりは、バラードが全体的に苦手ってこと?
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井上 | ふだん歌わないんですよね、バラードをまったく
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梶浦 | ちょっと混乱して。ジャンルのバラードなのか、曲名の「Ballad」なのか
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井上 | ジャンルのバラードです
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梶浦 | ジャンルのね
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井上 | はい!ジャンルのバラードのほうが。ほんとにめったに歌わないので、表現力が要されると言うか。うまいか下手かすごいわかってしまう
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梶浦 | まぁね。逆に「宝石」みたいな曲って、やっぱり抑揚がね、すごくあるから。歌い混むという意味では「Ballad」より歌い混みやすいだろうなーって。パワーで押してるところもあるじゃないですか
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井上 | 私パワーで押しちゃいます?
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梶浦 | 「Ballad」はね、あれはパワーで押せと言われても、とか。ただひたすらクリアに歌っていくしかない
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井上 | しかも『コゼットの肖像』のVol.3の挿入歌というお話だったので。これは世界観崩しちゃいけないだろうと思いつつ。自分暗めのハスキーな声だなって、自分で思ってるんですけど。あんまりそれを出し過ぎたら『コゼットの肖像』の挿入歌としては雰囲気が崩れちゃうんじゃないかなとか、思いながら
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梶浦 | でも全然。あれはわりと暗い声でも全然 OKだなって思ってたの
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井上 | 私、これもデモテープ頂いた時、無理だよって思ってたんです。そのときの印象はミステリアスな不思議な曲だなって。難しいバラードだなぁって思ったんですけど。本番レコーディングの時にはもうほとんど曲ができてて。そのときには印象が全然変わりましたね
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梶浦 | ギターとか入ってたし
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井上 | そうですね。レコーディング前のギターが入ってて。そのときは、神秘的で澄んだ美しい曲だなーって思って。そこで一気にガラッと印象が変わって。その、今まで思ってた曲のイメージとだいぶ変わったので。逆にそれが本番、レコーディングをするときにやりやすかった
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梶浦 | なるほどね。あれはでも、声、絶対合うだろうなって思って作ったから。この間ね、かなり前に2チャンネルのミックスを終えて、シングルに入っているんですけど、Vol.3に入れるように、いわゆる5.1チャンのミックスを。DVDで観る方は、5.1サラウンドで
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井上 | 臨場感溢れる!
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梶浦 | そう。CDには入れられないんだけど。それがね、あの曲がものすごい良くて。こういう曲って5.1に合うんだなーって。聞かせたかった
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井上 | ええー。聞きたかった
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梶浦 | さすがにそのスタジオには呼べなかったから。5.1のミックスはもう5.1チャンの設備があるところでしかミックスできないし。ウチにもないんですよ、5.1。だからウチでもきけないんですけど。あの「Ballad」の曲はものすごく5.1チャンに合ってて。ものすごく良かった。この5.1チャンのミックスで世に出したい!ってくらいすごい良くて。声がすごい存在感あって素晴らしかったです
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井上 | ありがとうございます。でも、5.1チャンネルを家にそろえれば!DVDで
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梶浦 | そうですね。DVDの中に、Vol.3の挿入歌としてきけますね
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井上 | それまでに、5.1チャンネルをそろえて
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梶浦 | 私も買わないと(笑)
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井上 | そうなんですよ。せっかく5.1チャンネルなら勿体無いなーと思って
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梶浦 | いっつも、ちゃんといろんな音楽5.1で落としてるんで。環境のある方は是非、おうちで聞いていただいて
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井上 | そうですね。すごいたくさん音楽の話を今回してしまったんですけど(笑)。えー、実は今回、次回に続きます。そのときにまたいろんなお話を伺いたいと思います。
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